【感想】無双OROCHI3をクリアしまして

 ここ最近、思い入れのシリーズが新作を発売したり、リマスター版を発売したりすることが多く、遊ぶ時間に見合わない量のゲームを買ってしまっている今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 今回は、9/27に発売された「無双OROCHI3」の感想を書いていこうかなと思います。

 

 無双シリーズについて知らない人は殆どいないと思いますが、無双OROCHIシリーズの説明からしていきます。このシリーズはそもそも、コーエーがオリジナルで展開していた無双シリーズである「真・三國無双」と「戦国無双」の2作をクロスオーバーした作品として始まりました。戦国時代と三国時代が混ざりあった異世界で、人類の存続をかけた戦いを毎度色々な工夫をこらして描いてきました。

 ゲームシステムとしての特徴は、キャラクターの多さとそれを活かした3人一組のチームバトルです。キャラクターは2シリーズの直近の作品から全キャラ参戦するうえ、オリジナルキャラクターが居たり、2では無双シリーズ以外の作品からゲストを呼んでいたりするため、無双シリーズ全体と比較しても最大規模の参戦数になっています。例として、今回紹介する「OROCHI3」では総勢170名のキャラが参戦しています。

 チームバトルに関しては、場面に応じてキャラクターを使い分けるという戦い方が可能になっています。最近の作品では三國無双では武器の切り替えが可能で、戦国無双では離れたキャラの操作を切り替えることが可能になっていますが、ある意味その先駆けになっています。更にシリーズを重ねる毎にチームならではの戦い方が多様化してきており、例えば攻撃を受けている途中に待機中の味方が出てきて相手の攻撃を妨害してくれる「援護攻撃」や操作キャラのコンボ中に切り替えを行うことで敵を浮かせつつ、切り替えを行い、継続してコンボが可能になる「スイッチコンボ」などチームで戦う楽しさが徐々に追加されているのも魅力の一つです。

 出典元の作品との差別化が図られているのも面白いところです。登場するキャラクター全てに3種類のいずれかのタイプが振られており、タイプ毎の特性となるアクションを行うことができます。例えば、スピードタイプであればコンボ中の隙を空中ダッシュでキャンセルすることができるなど、プレイヤーの自由度を高める要素が多いです。また、キャラ固有のアクションも各キャラ1つずつ追加されており、出典元とは違う形でキャラの個性を伸ばすような行動をしてくれます。

 

 ここからは作品単体の話をします。ストーリーは前作のエンディングから始まりますが、前作までの記憶を一度失った状態から始まるため、軽くリセットがかかっています。前作までのあらすじは本作の中でも読むことができます。

 アクション面では三國無双は7Empires戦国無双は4-Ⅱが元となっています。それ以降のアクションやキャラクターは登場していませんのであしからず。出典元準拠の要素として「OROCHI2」までと変わった部分は、三國無双は全キャラの武器固有化と空中乱舞が実装されていること、戦国無双は神速アクションが追加されたことです。これによって立ち回りが劇的に変わった部分もありますが、それについては後ほど。また、2シリーズ共通で一定時間強化される要素があるため、こちらもやや形を変えて、「OROCHIシリーズ」としては初めて実装されています。

 今作オリジナルの要素では、「神術」と「神格化」が追加されました。今回はタイプの他にキャラごとに神器というものが割り振られており、神術ゲージというリソースを消費して、この神器に合わせた技を発動することができます。この神器は物によって性能が大きく異なり、敵を引き寄せるものや遠くの敵に攻撃するもの、大きく移動するためのものなど、多種多様なものが用意されています。更に神術ゲージ全てと無双ゲージの半分を消費することで固有神術を発動することができます。これが前作までのタイプアクションに当たる要素になっています。また、敵を倒すことで合体神術と呼ばれる周囲の敵に大ダメージを与える大技を使うことができます。これをいち早く使うためには積極的に神術を使う必要があります。

 神格化は先ほど紹介した一定時間強化する要素に関連する要素になります。基本的にこの強化は出典元に由来したもの(三國無双ならば覚醒、戦国無双ならば無双極意)になっているのですが、極一部のキャラクターのみ神の姿をモチーフとした見た目に変わり、大きくステータスが上昇するようになります。また、一部アクションも変化し強力な攻撃を繰り出すことができます。

 

 では、感想に入ります。良かった点は、今までのOROCHIシリーズの良かった点がしっかりと引き継がれていることです。最近発売された無双スターズや三國無双8があまり良い出来ではなかったこともあり、不安要素が大きかったのですが、今作は出典元の良さを大きく損なうことなく引き継ぎつつ、今作独自の要素を織り交ぜることができていて非常に面白いです。

 特に前述した神術アクションは行動をキャンセルしつつ使えるため、コンボの幅が広がるという意味でも非常に面白いシステムになっています。タイプアクションも大きく変更がされていて、全タイプで何らかの方法でのキャンセルができるため、行動の幅がかなり広くなっています。

 OROCHI2で気になっていた部分として、キャラ格差の問題がありました。特に初代から同じモーションを使い続けていた戦国無双と6で一新が行われ、派手なアクションが可能になった三國無双で爽快感に大きく差がありました。しかし、戦国無双4で神速アクションが追加され、三國無双と同等以上の爽快感を得ることができました。三國無双も7で全キャラの武器の固有化が行われ、大胆な個性化も行われています。なので、戦国無双とはまた異なる爽快感が得られるのが魅力であると思います。

 BGMに関しては参戦作品や歴代のOROCHIシリーズから数々の名曲が今回も選ばれています。無双シリーズのBGMが好きな方は今回も損をすることはないと思います。

 

 

 次に不満点です。

 まず、ストーリーに納得がいっていません。ネタバレは伏せますが、前作までだと物語の軸になる人物が居て、それから少しずつ協力者が集まり、適材適所で陣頭が変わるという印象が強かったのですが、今回はその中心人物がコロコロ変わるため、物語の流れが掴みにくいと感じました。これだけ人数が多いと平等にスポットライトを当てるために色々工夫をするため仕方がないとは思いますが、だからと言って、今作がOROCHI初参戦のキャラの出番が殆どないことが多いので、出番の配分とかしっかり考えているというわけでもなさそうです。

 また、キャラ贔屓の面で考えますと神格化は平等性が欠ける上に魅力も欠けている印象です。性能面では持続時間が短いため、気づいたら終わっていることが多いですし、固有神術が拘束時間の長いカットインになるため、テンポがすごく悪いです。これを使うのであれば、覚醒乱舞や無双奥義・皆伝のほうが使っていて楽しいです。また、選出の面でも8枠ある中で幸村・趙雲の二大看板キャラと銀屏と直虎のコエテクイチオシの萌キャラで半分を使い、他のキャラも無難に人気があるキャラと言った感じで正直面白くないなぁという感じです。特に三國最強の呂布が神格化するにも関わらず、戦国最強の忠勝が神格化しないというのも腑に落ちない。こんな中途半端なことをするくらいであれば、マルチレイドのように全キャラ変身できるぐらい贅沢な仕様にするか変身は無しで、覚醒中は固有神術が強化される方が嬉しかったです。

 テンポという部分では二人プレイ時にテンポの悪さを感じました。合体神術や無双乱舞といった時間が止まるアクションを使用するともう片方の画面でも時間が止まってしまうため、非常にモヤっとします。特にコンボをしているときに敵武将が空中で止まってしまうとやることが全くなくなるので、暇を持て余す。しかも、特定のカメラが固定されるタイプのアクションを使用しているときに時間を止められるとカメラが暴れるバグが有るため、更にストレスがマッハ。テンポの悪さでは、会話のログが詰まって先に進めない問題は今回も健在です。しかも、今回は制限時間以内にミッションを達成することがユニーク武器取得につながる上にその制限時間が非常にシビアなため、ログが詰まって先に進めなくなると非常にイライラします。さらに場所によっては砦を順番に2つ制圧しなければ、先に進めないというステージ進行があるステージで早く進みすぎると2つ目の砦の扉が先に開き、1番目の砦が開くまで待たされるというバグが発生します。こういうところでもイライラしました。

 二人プレイの話をもう少ししますと今回の二人プレイは本当に出来が悪い。まず、マップが一つしか用意されず、そこに2人分の位置を示しているという仕組みになっています。これがずっと出るならば、何も問題はないのですが、1P側が合体神術や無双乱舞などのカットインが出る技を使用するとマップが消えます。すると2Pは方向がわからなくなり迷子になるという現象が発生します。こうなるって、ちゃんとテストすればわかりますよね?コエテクさん??また、2P側は戦闘中にメニューを開くことはできますが、メニュー画面中に操作することができないです。これらはすべてPS2の時代からできていたことです。これができなくなっていることが非常に納得できません。しかし、ここらへんは二人でプレイする時の問題点なので、やらない人には関係ないと思います。

 戦闘の細かな不満点では、神器のバランスに偏りがあることです。先程、キャンセルしてコンボにつなげることができるというお話をしましたが、全ての神器がそうというわけではありません。特に相手に一直線に突進して吹き飛ばしてしまうものやイノシシに変身して、突進と突き上げを繰り返すといったものがあります。強い神器はこれらとは逆に相手を自分の近くにまとめて、コンボの支援をしてくれるものになるため、それができない神器を持つキャラを避けてしまいます。もう一つは無双乱舞も無双奥義ももともとは複数回分をストックできる仕様ですが、今回は1回の使用するとゲージ全てを使用してしまうようになりました。これでふりを被るのが三國勢です。コンボの締めに無双乱舞を使用して派手に決めるといったアクションが魅力にもかかわらず、ストックはできないし、ゲージは溜まりづらいし、固有神術使うのにゲージ使うしという三重苦でどうしても封印せざるを得なくなります。特に周泰は地上乱舞から空中乱舞にコンボが可能という特徴がなくなってしまいました。(ついでにいうと空中ダッシュ→ジャンプキャンセル→空中ダッシュの繰り返しによる高速移動もあまり恩恵がありません)

 その他の不満点として、陣地画面の使い勝手の悪さを感じました。今回数多くのキャラが居る中で前作までであれば、ある程度組分けされた状態で選ぶことができましたが、今回の表示は組分けされていない状態での一覧状態なので非常に探しづらいです。一応ソートや絞り込みは可能ですが、その設定を保持してくれなかったり、絞り込みの全解除を実行後に勢力とタイプの片方のみを選ぶと何も表示されないため、両方共1つずつ選ばないといけないなど、使い勝手はあまり良くないです。難易度選択もその都度選ぶのではなく、変更しない限りは同じ難易度で遊べるという作りになっていますが、難易度を変更後はその難易度で一度クリアしないと変更した内容を保持してくれません。それも一度リセットしたら保持が消えるなどではなく、難易度選択を決定して、選んだ難易度で好きなステージが選べるし、装備やキャラを変えることもできますよという状態で装備を変えに行くと選んだ難易度がもとに戻ってしまうという作りです。一度した設定を何度もし直すのは地味に不便。些細な部分として、今回は戦闘前のローディング画面でBGMを変えることができません。しかし、陣地画面のBGMは好きに変えることができます。無双スターズでもできたことがなぜできないのか。

 

 

 言いたいこととしては以上になります。無双スターズの出来にがっかりしていた身としては十分満足できる出来ではありますが、無双OROCHIシリーズやったことない人に進めるかというとならば、2Ultを買ってもらったほうが満足できるんじゃないかなって思います。

 個人的に今回不満なところは無双スターズと同様に「今までできたことができなくなったこと」に集約されると思っています。もちろんできたことは増えましたし、その中には楽しくなったことや便利になったことも多くあります。しかし、これらとトレードオフで失うにはあまりにも初歩的な内容ではないかなと思っています。現在シーズンパスが配信中のため、今後もアップデートが行われると思います。その際に可能な限りアップデートを行い、改善していただけるともう少し長く遊べるかなと思います。

 ちなみに記事を書いている日の今週はSteam版が発売されますね。PCで遊べる唯一のOROCHシリーズになるので、そういった方は喜び勇んで買っていただけたらいいかなと思います。特に無双シリーズを遊んだことのない方は、三國無双戦国無双の良いところを集めた作品になっているので、そこから興味を持ってSteamで関連作品を買うのもありだと思います。だけど、くれぐれも三國無双8は買っちゃだめだぞ。良し悪しではなく別ゲーだからね。