【感想】レスレリアーナのアトリエを遊んでみて

今年一番注目していたといっても過言ではないスマホゲームの話をどうしてもしたいと思い、キーボードを叩いている今日この頃でございます。

皆さんはプレイされたでしょうか?レスレリアーナのアトリエを。

同じシリーズファンに向けて自己紹介をすると、私はトトリのアトリエからアトリエを遊び始めました。一番遊んだシリーズは不思議シリーズで、物語として一番好きなのは、ソフィーのアトリエで一番長く遊んだのはフィリスのアトリエです。秘密シリーズは時間が取れずまだライザ1もクリアしてません。

 

レスレリアーナのアトリエ(以降、公式の略称であるレスレリと呼びます)の話をしたい理由は大きく分けて2つ。
1つは、大好きなシリーズ作品であるアトリエシリーズが三度スマホゲームになるから。
もう1つは、一般的にシリーズ作品のスマホゲーは外伝作品と位置付けられることがほとんどにも関わらず、レスレリはアトリエシリーズのナンバリングである「A25」に数えられてしまったから。

補足すると、アトリエシリーズは過去に2作品スマホゲーが出されていますが、どれも成功したとは言い難く、あまりいい思い出がないのが正直なところです。そこで新しくスマホゲーを出す上にそれをナンバリングとして扱うという公式の発表は、寝耳に水なものでした。(発表の仕方も最悪で、youtubeの生配信で新作発表!→実はスマホゲーでした!!→しかもナンバリングです!!!というコンボでした)

 

注目していたのは怖いもの見たさだったし、序盤を遊んでダメだったらすぐ辞めるつもりでした。
ただ、実際遊んでみるとシリーズの特徴である採取・調合・戦闘の三本柱を毎日触れるスマホゲーのフォーマットに見事に落とし込んだシステムや、スマホゲーの中ではハイレベルな映像表現とシリーズを通して評価が高いサウンドが手堅くまとまった、とても良い作品となっていました。
その反面、運営型のゲームとして見ると不足している点が多く、長く遊んでいくという観点だと不安を感じる部分もあります。

今回は、サービス開始直後特有のこの不安定さを書き残したいと思ったのが、今回記事を書くに至った大きな理由です。

(この記事を書いているのは2023/10/16です。仕様変更などで現行の仕様から変わっている個所なども出てくるとは思いますがご了承ください)

 

ゲームについて、少し細かく説明します。
このレスレリの公称ジャンルは「シネマティック錬金術RPG」です。
このジャンル通り、レスレリは物語と映像表現に比重を置いた作品になっています。

物語は錬金術士見習いのレスナと記憶喪失の少女ヴァレリアを軸に進んでいきます。
また、歴代作品に登場したキャラクターたちが二人を支える仲間として登場することもあります。(歴代キャラクターたちは異なる世界からやってきた異邦人として扱われているので、それぞれの作品の時間軸からやってきたものと思われます)
現在は4章までが配信されていて、3章が最初の山場でした。ここまでの物語ではレスナの成長とヴァレリアの旅の始まりが主なテーマでした。
この二人を支えるキャラクターたちも魅力的です。私がいいと思ったのは、レスナの師匠であるザスキア先生です。アトリエの師匠というと大体はろくな大人ではないのですが、このザスキア先生は、レスナを一人前の錬金術士にするために厳しいことを言いつつも常に気にかけている優しい先生という印象でした。しかもその厳しいことというのが結構現実的な内容なのが面白いなと思いました。
映像表現については月並みな言葉ですが非常に綺麗になっています。秘密シリーズでも強化された自然光を意識した表現が取り入れられていて、他のスマホゲーでよく取り入れられているアニメ的な映像とはまた異なる魅力があります。
そしてキャラの動きなどの演出についてもよくできています。カットシーンではキャラクターが表情豊かに会話をし、見せ場では派手なムービーが差し込まれたりボーカル曲が流れたりします。演出のクオリティの高さはスマホゲーの中でも特に優れたものとなっています。

 

ゲームシステムも物語を主導として進行していきます。

新たなステージや調合できるアイテム、キャラのレベルの上限などすべての要素が物語の進行度によって変わっていきます。これによりスマホゲーでありがちな強力なキャラクターを1体用意すれば、戦闘を楽にクリアできるという状況が起きづらく、ボス戦や物語の山場では必ず一度は苦戦する作りになっています。

戦闘は、不思議シリーズ以前ではおなじみの素早さによってキャラごとに順番が回ってくるターン制バトルです。今作ならではの特徴は、特定のターンに特殊効果が発生する点です。
特殊効果の種類は大きく分けて3つあり、強化・弱体化・バーストスキル(必殺技)の3種類です。どの効果も強力なためこれを重要になっています。そのため、相手に強化や必殺技を取られないようにしたり弱体化の効果を押し付けるために順番をコントロールすることが重要になります。
順番をコントロールする手段は大きく分けて3つあります。

  1. アイテムを使って全体の順番を遅らせる
  2. 2種類のスキルを使い分けて割り込む
  3. 相手をブレイクして行動順を遅らせる

1.のアイテムについて、今作のアイテムはターンを消費して使うものではなく、アイテムのターンを割り込ませて使うものとなります。これによって全体の順番を一つ遅らせることができます。
ただし、アイテムの効果は薄いうえに専用のゲージを溜めないと使うことができないので、アイテムの影響力は過去作と比べるとそこまで高くありません。

2.のスキルについて、自ターンにできる行動は2種類のスキルとバーストスキルの使用+アイテムの4種類です。2つのスキルはどのキャラも共通して「威力が低い代わりに再行動が早いスキル」と「高威力の代わりに再行動が遅いスキル」の2種類を持っています。
これを使い分けることによって、順番をコントロールすることができます。敵にダメージを与えるか特殊効果の状況を見て順番をコントロールするかの判断が常に求められるシステムになっています。

3.のブレイクは敵に設定されているブレイクゲージを削ることを指します。ブレイクゲージを削りきることによって、順番が後退する上に被ダメージが上昇するブレイク状態になります。ブレイクゲージを削る量はキャラごとに決まっています。
キャラごとにブレイカーやアタッカーのようなタイプが決められており、それによって役割が決まっています。
また、今作では全部で7種類の属性があり、モンスターによって耐性が決まっています。耐性が高いとその分ブレイクゲージも削りにくくなってしまうので、耐性に合わせてキャラを使い分ける戦略が求められます。
パーティは全部で5人パーティになっていて、相性やタイプのバランスを考えつつ編成することが重要になっています。

 

探索と調合について触れていきます。

探索はスコアバトルとダンジョンの2種類があります。
スコアバトルは単発の戦闘を行い、与ダメージや残HPでスコアが産出されるものです。スコアが高いほどより良い素材アイテムを手に入れることができます。ダンジョンはHPやアイテムの利用回数などを引き継ぎながら連続で戦闘するものです。難易度が高い分、スコアバトルよりも貴重な素材アイテムが手に入ります。
2つとも1度クリアすると戦闘をスキップして報酬だけ受け取ることができます。
一般的なスマホゲーと同様に探索に行くにはスタミナを消費します。

調合はシステムでシリーズでおなじみのアイテムを作成するシステムです。
調合できるアイテムは戦闘中に使用する戦闘アイテムとキャラに装備させる装備アイテムの2種類があります。
アイテムには特性を付与させることができます。ただし、過去作のように素材にランダムで付与されているものから選ぶ方式から変わっています。今作の特性は、キャラクターと素材の種類ごとにそれぞれ固定されています。調合時は調合を担当するキャラクター2名と素材を1つ選び調合を実施、その中から抽選で選ばれた特性が最終的に付与されます。また、特性は最大5段階のレベルが設定されており、どのレベルになるかはランダムです。
調合回数はマナによって管理されており、マナを1消費することで調合できます。最大5つまでは時間経過で溜まります。
調合と探索は全体的に自由度が大きく損なわれた分、お手軽になった印象です。
近年の作品では品質を高め、特性を厳選することで強力なアイテムを作ることが醍醐味として用意されていましたが、本作ではいずれも廃止か縮小されています。戦闘においてはキャラの性能のほうが重要になってしまっているので、調合が存在感のある要素にはなっていません。
また、優れたアイテムを作ろうとした際にランダム要素が大きく影響してくるのも過去作と異なる部分で、良いアイテムを作ろうとすると必然的に調合を何度も繰り返すことになります。しかし、前述の通りマナがないと調合ができないので、目的の特性がより良いレベルで着くまでの時間をゲーム側で強制的にコントロールされていることが不自由さに拍車をかけています。
上記の不自由さを別の側面としてみると、素材ごとに特性が固定なのは探索における厳選の要素を削除し、探索の時間を省略するためで、調合も同様に特性の組み合わせを考慮する要素を減らすためだと解釈できます。スマホゲーは一日に触れる時間をなるべく少なくする傾向にあるので、そういった意味では妥当であるとも思えます。

ここまでの感想としては、アトリエシリーズのツボを押さえつつもスマホゲー向けに最適化されたタイトルとなっています。特にクオリティの高い演出で見れるストーリーは作品独自の魅力と呼ぶにふさわしいものとなっています。

 

ここまでの説明だけだとそこまで悪くない作品のように見えますが、この作品には大きな欠点があります。それは作品全体を通して感じる「渋さ」です。

渋さで一番有名なのは、10連ガチャの金額です。最近は値上げも多くみられますが、スマホゲーにおける10連ガチャの値段はは3000円というのがユーザーの間の共通認識だと思われます。スマホゲーのガチャの高い安いという判断は基本的に3000円より高いか安いかで判断していると思っています。
では、レスレリの10連ガチャはいくらかというと……
「6000円」
となっています。
基準の2倍というのは課金をためらうのには十分な理由だと思います。加えて言うならば6000円もあればゲームソフトが1本買える額なので、レスレリからアトリエを知った人に「新しいガチャのピックアップを引きたいんだけど課金したほうがいい?」って聞かれたら「レスレリに課金するよりそのキャラが出てる過去作を買ったほうがいいよ」と自分ならば答えます。
最近のアップデートで課金ガチャに限り15回限定で3000円ガチャが引けるようになりました。無課金でも1500円分の石で10連チケットがもらえるようになりましたが、このチケットでガチャを引いた場合はキャラの引き換えアイテムがもらえない(いわゆる天井にカウントされない)ので、あまりうま味がありません。

レスレリにはこういった数を絞りすぎている要素が至る所に存在します。
羅列していくと……

  • キャラのレベルを上げるために必要な経験値の取得量が少ない
  • レベルの上限やスキルレベルを上げるためのアイテムも少ない
  • 素材アイテムのドロップ量も少ない
  • イベントの報酬が大中小の中レベルの経験値アイテムと多少の無料石だけ
    (イベント以外の経験値アイテムの配布は殆どない)
  • 調合が無課金では1日10回もできない

これによって何が起きるかというと、様々なキャラを育てることが難しくなります。
前述のとおり、パーティの編成は敵の耐性に合わせて変えて有利に戦うという要素があるにも関わらず、限られたキャラしか育成することができないので仕方なくごり押しでクリアするという場面が多くなります。また、イベントの報酬が渋いというのは、イベントの特別感がなくなりマンネリを感じる原因にもなります。
サービス開始初期にも関わらずこれらの渋さによって、停滞感を感じてしまう状態になっています。

これらに加えて運営への不審を感じる理由として、ガチャの更新が週1のペースで行われる点が挙げられます。ただ渋いだけであればゆっくり遊ぶゲームと理解することができますが、ガチャのペースが速いということは環境を早く変えていきたいという風に見えてしまうため矛盾しているように感じます。これらの方針が明確化されていないことからゲームとして将来性を感じない要因になっていると思っています。

 

これまでの話を総括するとゲームとしては優れたものを多く持ちながらも、そのポテンシャルを抑え込むような運営の施策や調整が多くみられるために魅力が十分に発揮されていない作品であると感じました。

ゲーム外の話ですが、9月下旬には配信後初の公式生配信が行われました。その中でユーザーの質問に答えていくコーナーが用意されましたが、誠意のある回答がされたとは到底言えないものでした。10月中に再度生配信をするという告知がありましたが、その時の回答によってユーザーとの関係性が大きく変わると考えています。
ユーザーから要望の多い有料石以外の課金システム(シーズンパスや毎日石パックなど)や育成しづらい環境であることについての回答があることを期待しています。

 

「ここまでいいところも悪いところも上げてきたけど結局おすすめするのかしないのかどっちなの?」と思う人もいると思いますが、シリーズを遊んできてキャラクターに愛着がある人にはおすすめします。

美麗なグラフィックでキャラクターが動いている姿は圧巻の一言です。タブレットスマホでは難しいですが、60fpsでスキルのモーションなどを見ると迫力もあってみているだけで面白いです。また、今作のストーリーも非常によくできていてオリジナルキャラたちにも愛着が沸くクオリティになっているので遊んで損はないと思います。

その反面、アトリエ初心者の方やこれまでのゲームシステムに愛着がある人にはおすすめしづらいです。
ゲームとして窮屈な面が目立つうえにちゃんと遊ぼうとすると出費がかさむという点が目立つので、アトリエを初めて触れる方からするとあまり良い印象にはならない点や、アトリエ特有のコツコツした作業感や調合の自由度を求めている人には向いてなさそうという点からおすすめできません。

ただ、高いポテンシャルを秘めているゲームだとは思いますので、今後の改善が進んでいき、長く続く良いタイトルになってくれれば、1シリーズファンとしては非常にうれしいです。

長文となってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。